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Channel: 【健美家】不動産投資コラム
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RCの屋根は漏りやすい

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CASHFLOW101( 加藤ひろゆき )さんの新刊『 300万で大家になって地方でブラブラ暮らす法 』が届き、読み終わったところです。嫁さんの方が先に読み、私のことも「 一行載っているよ! 」とのことで、興味津々でした。

彼の本はすべて読んでいますが、今回はマックでのサラリーマン生活、軽自動車での事故、ハリウッドでの撮影、実家、いなか、中古戸建、中古車など、より具体的でつっこんだ内容でした。

本やお話で面白いのは、体験談です。今回はご自身の体験が大幅増量されていて、一気に読み終わりました。
コンプレックスの解消のところも面白かった。

都会のサラリーマンにうんざりした人、人生に挫折した人、これから不動産でもやってみようかという人は、読んでみるとためになり、元気が出てくるのではないでしょうか。この方法だけが不動産投資ではもちろんないですが、収入の少ないサラリーマンがいきなり大きな借金を負うよりも、健全な方法のように思えます。

私は山田里志さん、CASHFLOW101さんの投資法をまねしています。巨大なRC物件をフルローン、長期ローンで購入してキャッシュフローを上げて、出口もサッとうまくやるという賢くてすばしっこいやり方は、のんびり、グータラ型の私にはリスクが高くて無理かなと感じています。

また、設計監理の仕事を長くしていて、RCの現場経験、竣工した建物からの苦情を受けた経験から、今のRCには値段ほどの信頼を置けないと思ったこともその理由のひとつです。

前回は木造の陸屋根( ろくやね )、水平の屋根のお話でした。今回はRCの陸屋根についてです。RCでは普通は陸屋根です。なぜなら水平にスラブ( 版 )を打つのが、一番作りやすい、すなわち安いからです。

生コンを流し込むのに傾いた型枠では、上にふたをしないと生コンがあふれ出てしまいます。階段部分も生コン打ちで大変なところです。それは、ふたをしておかないと生コンがあふれ出てしまうからです。水平なら水を均すように簡単です。木造では簡単な斜め屋根ですが、RCでは面倒なわけです。

下の写真は、ごく一般的なRCの陸屋根です。端部にはパラペットという立ち上がりがあります。パラペットにはひさしのようなアゴがでています。アスファルトのシートをパラペットで立ち上げて、アゴの下で留めています。端部でお皿の縁のように立ち上げないと、外壁沿いに雨が流れ、外壁はすぐに真っ黒になってしまい、部屋内にも雨が侵入してきます。

アゴにはステンレスの輪が付いていて、ガラス掃除などの際にロープを引っかけるのに使われます。アゴがあると雨が防水層端部の立ち上がりに当たらずに、雨が漏りにくくなります。防水層端部は、もっともデリケートな部分なのです。



アスファルトシートのつなぎ目が、写真中央付近に見えています。これはアスファルト露出防水とか、アスファルト防水露出仕様などと言われるものです。

陸屋根と言っても、勾配は1/50から1/100程度は取ります。コンクリートく体( 構造体 )は水平に打ち、その後にモルタルを上に塗って勾配を付けることが多いです。コンクリートく体を微妙に傾けて打つのは大変なので、コンクリートを水平に打ってからモルタルで勾配を付けるわけです。

アスファルト防水は信頼性が高いことになっていますが、それでも漏ります。実際この建物でも部分的に雨漏りがして、補修されました。露出防水の場合は、雨漏りの補修は楽です。防水層が見えるからです。

下の写真は、アスファルト防水の上にコンクリートを10センチほど打ったものです。押さえコンクリートとか保護コンクリートと呼ばれるもので、人が歩く屋上でよく使われます。アスファルト防水層を、歩行の衝撃や日光などから保護し、浮き上がりも防ぎます。

このやり方はアスファルト防水保護仕様などと呼ばれます。押さえコンクリートは熱で膨張収縮するので、クラックが入らないように目地を切っています。目地にはアスファルトのゴムなどを入れておきます。



この押さえコンクリートの仕様で雨が漏ると、大変です。防水層が見えないし、防水層を後から足そうにもできません。いったいどこからどういう経路で漏ってくるのかさっぱり分からないというのが普通です。

そんな場合は仕方ないので、コンクリートの上から別の防水を全面に施します。この場合は、コストがかなりかかってしまいます。防水屋さんはそれでいいのですが( その方がいいのですが )、大家さんは大変なことになります。

下の写真はペントハウス( 階段室などの屋上突出部分 )のところです。ペントハウスの壁や出入り口の部分にも、パラペットと同様のアゴが付けられているのがわかります。そこで防水層が立ち上がっています。

水が漏ったらまず、防水層立ち上がりを疑います。次に疑うのがドレイン( 排水口 )です。次にコンクリートに亀裂の入った所、防水層の継ぎ目などを疑います。



押さえコンクリートの目地がはっきりと写真で見えます。目地を入れていてもクラックが入ることがあり、また構造く体のコンクリートにもクラックが入ることがあります。

コンクリートのクラックに防水層がゴムのように追従できればいいのですが、そうでないと防水層にも割れが入ってしまいます。コンクリートく体が勾配屋根のように傾いていれば、防水が多少切れても水は流れます。しかし1/50程度の勾配では無理で、確実に室内に侵入してきます。

しっかりと密実に打ったコンクリートは本来、防水性が高く、コンクリートだけで防水できてしまいます。ダムも港湾施設もコンクリートでつくられています。コンクリートだけのく体防水を、専門業者が責任施工でやることもあります。しかしそれは例外的な施工例と考えておいた方が無難です。

コンクリートは一体構造、シームレスと思われていて、水にも強そうです。しかし最低でも打ち継ぎの部分には目地ができます。外壁を見ると、階と階の間、床スラブの上あたりに水平に入っているのが打ち継ぎ目地です。そこをしっかりとシールしておかないと、雨が入ります。

太陽光が直射する屋根も、一体構造を維持できるとは限りません。かなりあやしいと思った方がいいでしょう。

今日のまとめとして
RC造の陸屋根で、明日は不安なアスファルト
となります。


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